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執筆者の写真フラボノ

ファミコン探偵倶楽部 笑み男(ネタバレあり)

switchで出てるけどファミコン探偵俱楽部。

ファミコンADVの流れを汲むコマンド選択総当たり型。

とはいえ、次にどのコマンドを選べばいいかは文中の違う文字色で示唆してくれるので迷うところは少ないだろう。

このご時世にコマンド選択型ADVを作ってくれるありがたさを噛みしめつつ、背景がリッチだと感じる。

アイドリング中のタクシーのライトが点滅してたりとか、運転時の背景ループスクロールとか。キャラもLive2Dっていうの? バリバリ動くよ。


本編外のお遊び要素も色々ある。例えば電話関係。

作中ですぐ携帯電話(ガラケー)を配給されるのだけど、電話帳以外に自分で電話番号を入力してかけるモードがある。

110とか119とか入れたくなるよね。専用反応があるという。

あとは電話帳で番号を交換した相手にかけられるんだけど、数日後に相手から折り返し連絡があったりして「そんなところまで!?」と感じる反応作りこみがあった。

あとは町中の看板を見て電話番号を控えて、お店へかけられたり。


ゲームは章仕立てで、各章の最後に推理の時間がある。

推理は選択肢や文字入力で行う。大体は文章を読んでいれば問題なく正解できる。

ただ紙袋が18年前の事件と同一のモノと指摘したくて被害者が被されていた『紙袋』を選択したら失敗判定になったのは納得いかなかった。この辺はあれだね、逆転裁判でわかってるのに別の証拠品つきつけて失敗するような不条理さ。

あとswitchの文字入力システムはお子様でも安心なものなので『自殺』やら『殺人』という文字入力がしづらいのが気になった。

『じさつ』じゃ出ないので『じ→変換 ころ→殺すに変換してすを削除』とかやってた。

なんかX検索したら「平仮名でもOK」みたいなポストを見て俺の苦労は……。

ストーリー途中で選択肢もあるが、恐らくどれ選んでも合流するタイプ。ソシャゲの選択肢みたいな雰囲気づくりかな。


ストーリーは探偵としての役割が強調されていたと感じた。

仲間や、証人の大切な人を疑わなくてはいけない。そうなると今まで手を貸してくれた人も、当然手のひらを返し自分に辛く当たる。探偵の孤独を感じる。頼れるのは同僚のあゆみちゃんや空木先生だけや……。

あとは主人公とプレイヤーの知っている情報や意識が同じ程度に管理されているのはいいなと感じた。

推理モノだとあるじゃん? 動かしてるこっちはトリックとかわかんないのに主人公が「謎は全て解けた」みたいなこと言い出して困ったりとか、逆にプレイヤーはわかってんのに主人公がわからずに尺稼ぎさせられるようなイライラタイム。あれがない。

動かしてるプレイヤーが「あいつ怪しいな」と思ったタイミングで主人公もそいつをちゃんと怪しんでくれる。ストレスが少ない。


ストレスが少ないと言った側からなんなんだけど、個人的にはあゆみちゃんと福山先輩の恋の鞘当てはいらんかったかな。だって主人公が勝つに決まってるし(勝者の余裕)。

福山先輩は良い奴で良い先生なんだろうけど、馬鹿。めぞん一刻における三鷹さんみたいな……憎めない感じにしたいのは感じた、ヘイトを向ける人もいるだろうな。

一番好きなキャラは笑子ママ。ちょうど寝ぼけまなこ擦りながらやってて本名当てでミスったら一発ゲームオーバーとかなってビビって目が覚めた(すぐ直前からやり直せたのでそこは安心してほしい)。


プロデューサーが「賛否両論になるだろう」と言っていた理由もわかった。

クリア後に犯人の動機や事件の裏側を描写するおまけがあるのだけど、それがなんと30分ほどのアニメムービー。

このアニメでゲームのすべてが完結するわけで。

それってADV部分がアニメの引き立て役ってコト? と感じてしまう。ゲームクシナリオライター側からすると結局ムービーで説明するのは敗北宣言ではないか、と。

ただ、このアニメの出来はいいんだよね。映画『砂の器』の犯人親子旅パートみたいな。


でも、このおまけパートで種明かしするおかげでゲーム本編が終章に入ってもあんまり謎が解けず、急にそこらへんの工事現場の兄ちゃんから得た情報で犯人のアジトに突入になっちゃうんだよね。

あれも兄ちゃん達の証言で似顔絵と名前の食い違いから、真相への伏線って感じなのはわかるけど工事現場の兄ちゃんの存在が偶然だから、自力で解決した感が出なかった。

そこらへん偶然と必然のバランスとりは難しいよなあ。自分は偶然1回くらいなら許容範囲内だし、作中で「通りすがりの人から情報得るのって難しいんじゃ」と言ってたことへの「意外とそんなこともないぜ」ってアンサーだと感じたんだけども。実際の捜査も足で稼いでるんだもんな、すごいよなあと警察への思いを馳せてみたり。


ADVってなんなんだろうな。シナリオってのはテキストだけじゃなくて、SEや立ち絵の表情差分で話を伝えるという意味ではムービーだって同じ演出の範囲だと思うし。

終章でシステム的にゲーム終了という意味で使われていた『捜査やめる』コマンドがストーリー中で主人公の意志として選択できた、ああいうゲームならではのギミック、体験も好きだからムービーを見ているだけで感情を説明されても……という気持ちもある。

でもだからってムービー中にコマンド入力とかさせたらそれはQTEだよ、嫌だよあれ不意打ちでいつも失敗するもん!

そんな感じでまだ完全に消化できていないけども、これくらいは言語化できたのでまとめてみた。

全体としては文句なしで面白かったよ!

でも俺も佐々木くんが死ぬ直前に受けた電話がなんだったのか、相手が誰なのかまだわかってないよ! 何かメッセージ見逃したのか、読解力が悪いのか!


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